海辺のカフカ 上
著者

村上春樹

出版社
新潮社
定価
本体価格 1600円+税
第一刷発行
2002/09/10
ISBN4-10-353413-3
十五歳になった僕は二度と戻らない旅に出た。

15歳の誕生日、少年は家を出た。生き延びること、それが彼のただひとつの目的だった。一方、ネコ探し名人ナカタ老人も西へと向かう。暴力と喪失の影の谷を抜け、世界と世界が結びあうはずの場所を求めて――。

 

村上春樹、7年ぶりの大長編『海辺のカフカ』刊行決定! 

期間限定公式サイトが8月10日オープン! 

ここでしか読めない本人インタビューなど盛りだくさん!

 

≪ 期間限定公式サイトのご紹介 ≫

各コーナーの紹介


ハウスルール

はじめにお読みください。この『海辺のカフカ』サイトについて、まず知っておいていただきたいことが書かれています。

最新情報

編集部からのお知らせを随時載せていきます。

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春樹さんからのコメントやお知らせを随時載せていきます。

ロングインタビュー

某月某日、都内某所にて2時間以上にわたって行われた、村上春樹インタビューを数回に分けて掲載いたします。

キーワード

このHPの最初に点滅してあらわれる、『海辺のカフカ』に関する5つのキーワード。「15歳の話らしい」「中野区の話らしい」「ネコの話らしい」「図書館の話らしい」「四国の話らしい」。……「これだけじゃわかんないよ!」というアナタのために、発売日まで少しずつ、新しいキーワードをこーっそりお教えします。

更新情報

いつどこのコーナーが更新されたかが分かります。更新されたページに一発で飛んでいけるので、お急ぎの方はここをブックマークしておくと便利。

データ1
15歳

彼は長身で、寡黙だった。
金属を混ぜ込んだような強い筋肉を持ち、世界でいちばんタフな15歳の少年になりたいと思っていた。

データ2
中野区

東京都中野区にもしある日、空から突然2000匹の生きた魚が路上に落ちてきたら、人々は驚かないわけにはいかないだろう。

データ3
ネコ

多くのネコたちは名前を持たない。多くのネコたちは言葉をもたない。
しかしそこには言葉を持たず、名前を持たない悪夢がある。

 

力ラスと呼ばれる少年

「それで、お金のことはなんとかなったんだね?」とカラスと呼ばれる少年は言う。
いくぶんのっそりとした、いつものしゃべりかただ。深い眠りから目覚めたばかりで、口の筋肉が重くてまだうまく動かないときのような。
でもそれはそぶりみたいなもので、じっさいには隅から隅まで目覚めている。いつもと同じように。
僕はうなずく。
「どれくらい?」
もう一度頭の中で数字を確認してから、僕は答える。
「現金が40万ほど。そのほかに力ードで出せる銀行預金も少し。もちろんじゅうぶんとは言えないけど、とりあえずはなんとかなるんじゃないかな」
「まあ悪くない」とカラスと呼ばれる少年は言う。
「とりあえずはね」
僕はうなずく。
「でもそれは去年のクリスマスにサンタクロースがくれたお金じゃなさそうだね」と彼は言う。

(本文P.3より引用)

 
 

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