北朝鮮の交渉戦略 板門店の38度線上の攻防
著者

チャック・ダウンズ

出版社
日新報道
定価
本体価格 2800円+税
第一刷発行
2002/09/20
ISBN4-8174-0524-4
緊急出版!北朝鮮の交渉戦略 

緊急出版!

今、北朝鮮の行方の正しい見定めと日本の判断を求められる時。世界事情と日本のあり方を再考せよ!

日本語版刊行によせて

かつて金日成が樹立し、現在その息子の金正日が支配している北朝鮮政権は、日本という国を蔑んでいる。
2000年8月には北朝鮮政権は、日本が北朝鮮侵略を目論んでいるとして、国民に次のように訴えかけた。
「朝鮮半島再侵略の準備を仕上げるための日本反動主義者どもの動きは、既に一線を越えてしまっている。
彼らは戦時体制と日本の再軍備を完了し、戦争に参加して戦闘を行う権利を回復することにより着実に再侵略のための基礎を整え、海外部隊の派遣を正当化しているのだ。
彼らは今や空中給油機を導入し『対ゲリラ』部隊さえをも創設しようとしている。日本の反動主義者どもは現行憲法を改正しようと企て、死にもの狂いで再侵略のための準備を進めてきた」このようなレトリックによって北朝鮮内部で生じる一種の戦争ヒステリーは、この政権が絶対支配を維持するのを助けることになる。
それはさらに又、飢えに苦しむ自国民の生命を犠牲にしてまでも、この政権が軍備に対して莫大な投資をするのを正当化するのに役立つことになる。
今日、北朝鮮が日本に対してとっている敵対的な行動は、国際社会に対する脅しや脅迫や強要でもって利益を得、自国民に対する弾圧でもって絶対的国内支配を維持しようとする北朝鮮政権の手法と、大いに関係がある。
1948年の建国以来、マルクス主義政策に固執するという落し穴にはまってしまったことにより、朝鮮民主主義人民共和国は今や破綻した全体主義的独裁国家となり果ててしまった。
その結果として、国民の大多数が飢えに苦しむことになったのである。
この政権は同盟国からさえも敬意を払われておらず、仲間の国々からも一般的に軽蔑の目で見られている。
この政権は国家目的を達成するための手段として、大量破壊兵器とその発射システムの拡散を推し進めている。
諸々の失敗を犯したために、脆弱な北朝鮮独裁政権はスケープゴート無しには生き延びることが出来ない。
北朝鮮は他の国々とりわけ日本、アメリカ、韓国を非難することにより、自国の失敗に対する責任を逸らさなければならない。
日本政府やアメリカ政府と同様に大韓民国は、自由で公正な選挙によって樹立された。
1948年5月10日の選挙は、比例代表の原則に基づき全朝鮮民族に彼らの自由意思を表明させ、彼らの政治的未来を決めさせるべく計画されていた。
だが、北朝鮮の共産党指導部がそれをボイコットしてしまった。
にもかかわらず、韓国では国連の監視の下に選挙が行われた。
北朝鮮政権がその権力を由来させているのは、国民の自己決定意思に基づいた投票からでなく、国民にそのような投票をさせるのを拒んでいることからである。
北朝鮮は、ただ単に銃の支配によってのみ政治権力を維持してきた。
38度線の彼方、朝鮮半島の南半部の地域に自由で繁栄した民主主義国家が存在することに焦燥感を覚えた北朝鮮は、韓国を転覆させようと何十年にもわたって画策してきた。
50年前、北は南を自国の支配下におこうとして朝鮮戦争を始めた。
1968年に北は韓国の大統領を暗殺するため、特殊部隊を南へ差し向けた。
1983年に北は韓国の大統領を殺害しようとして再度挑戦し、この時も失敗に終わったけれども、しかし多数の韓国閣僚を殺害した。
1987年に、北はテロリストを中東へ送り込んで民間の航空機に爆弾を仕掛けさせた。
そしてつい最近、北は特殊部隊を満載した潜水艦を韓国沿岸に侵入させた。
以上に述べたリストは、北朝鮮が50年間にわたって行ってきた違反行為の中のほんの一部分に過ぎない。
北朝鮮は2000年6月を境に数ヶ月間、平和攻勢に打って出て、韓国の大統領を北朝鮮の首都に迎え、韓国に対する従来のレトリックを抑制しているけれども、韓国や日本の一般市民に対する暴力的な挑発行為の歴史が、その基本的姿勢であったことに変わりはない。
北朝鮮及びそのかつての行為を謝罪する人々は、読者諸兄に次のように望むだろう。
金正日体制はこの数ヶ月間で変化した、ということを信じて欲しい、と。
しかしながら、韓国や日本との対話を北が望み始めたというような変化が生じたからといって、それが直ちに「北朝鮮政権がその長期間に及ぶ戦略あるいはその基本的政策を変更したことを意味する」などとは何人も期待すべきでない。

(本文P.3〜5より引用)

 
 

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