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青春の東京地図
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著者
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泉麻人 | |||||
出版社
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晶文社 | |||||
定価
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本体価格 1600円+税 | |||||
第一刷発行
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2001/12/15 | |||||
ISBN4−7949−6505−2 |
T ぼくのご近所地図 スガ屋と仁丹ガム
母親の話を手掛かりに、ああそういえば、あの頃は(せいぜい三、四年前のこと准のだが)あーだったんだよた……とか、そうだよパンエ場があったよ確かに……とか、丸山のバス停から先って狭い砂利道だったんだ……なんてことを。 僕は昭和三十一年の四月に、新宿区の下落合(現・中落合)という町で生まれたのだが、ここでは、そんな僕が物心つく頃、物心ついて三、四年くらいまで─昭和三十五〜三十九年あたり・・・・の、主に"ご近所"の地図を、記憶を手繰りながら描いて、当時の僕の視野に引っ掛かった様々たモノや事について、思いつくままに書きつらねてみよう、と思う。 丸正は、まだ当時はスーパー風のつくりではなく、路傍に野菜やくだものを並べた、いわゆる町の八百屋さん、であった。 自転車の補助輪を取るときも、シミズくんに後押してもらって練習したことを憶えている。 図鑑で調べるとオオクロバエってやつだが、この黒くてでかいハエには、なかなかお目にかかれなくなった。 使い古しのメンコ、ゼー玉、ベーゴマ。 家から四、五十メーターほど奥に入ったところに、長屋の並んだ路地があって、その一角で僕よりも四、五年上の兄ちゃんたちが、漬物の樽を台にして、ベーゴマをやっていた。 べーゴマの兄ちゃんたちのなかに、少々吃り気味の、特徴のある喋りをする人がいた。
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