プロローグ
田中
さて、『日本史原論』。いよいよ第二弾ということで。
太田
”二匹目のどじょう”ってやつだね。
田中
そういう言い方するなよ
太田
じゃ、”五匹目のヒヨコ”。
田中
意味わかんねえよ
太田
買ってもすぐ死なすくせに、縁日で売ってるとまた欲しくなって買っちゃうんだよ。それで「もう五匹目よ!」ってお母さんに怒られながら買ってもらったヒヨコ。結局三日で死んじゃうんだよ。
田中
いいよ、そんな解説は!
太田
じゃ、"何頭目のパンダ?"。これは、日本の動物園でパンダが死んで、中国からもらうたびに中国政府から……。
田中
そんな話はどうだっていいんだよ!今はこの本の話をしてんだろ
太田
ああ、この本の話ね、何だっけ?『五体不満足』だっけ?
田中
ぜんぜん違うよ! お前、自分が書いた本のタイトルもわかんないのかよ!苦しんで書いたんだろ!
太田
そうそう。三カ月間監禁されて書きました。読んでください。『「みにくいあひるの子」だった私』
田中
だから、違うっつってんだろ!
太田
あれ?『チーズはどこへ消えた?』だっけ?
田中
違うよ!
太田
ああ、『バターをどこに塗った?』だ。
田中
そんな本ねえよ!そうじゃなくて、『日本史原論』だろ、『日本史原論』!
今回は"偉人編"です。
太田
そう、全部外国人。
田中
"異人"じゃねえんだよ!"偉人"だよ!
太田
そりゃそうだろうな.わけわかんないもんな、『日本史原論・異人編』って。日本史なんだか世界史なんだかハッキリしろ!って感じだよな。
田中
なに自分でボケて自分で突っ込んでんだよ
太田
あるいは、フランシスコ・ザビエルとかペリーとか、日本史に出てきた外国人ばっかり取り上げるとかな.でもそれじゃ続かないだろうな。最後のほうはネタがなくなって、しょうがねえから、デーブ・スペクターとか、ケント・デリカットの人生振り返っちゃったりして、俺は稲川素子事務所じゃねえっつんだよ!
田中
だから、勝手にボケて勝手に突っ込むのやめろよ
太田
でもまあ、"偉人編"でよかったよ。"刑事編"って言われたら何書いていいかわかんなかったもんな。
田中
当たり前だよ!なんだよ『日本史原論・刑事編』って
太田
大岡越前とか、遠山の金さんとかかな?
田中
かな?って、知らねえよ-お前が勝手に言ったんだろうが!とにかく、前回は時代ごとに区切ったのに対して、今回は歴史上の人物にスポットを当てたってことだよ。
太田
それぞれ、面白かったね。
田中
そんな中でいちばん印象に残ってる人物を一人挙げるとしたら、誰になる?
太田
そりゃ、やっぱり"谷口啓助"だろうな。
田中
やってねえよそんなヤツ!誰だよそれ
太田
大正五年に静岡県沼津市に生まれて、その一生を平凡なサラリーマンとして暮らし、今年の一月、息子家族に囲まれて亡くなった人だ。
田中
ぜんぜん歴史上の人物じゃねえじゃねえか
太田
そういう言い方するなよ、実は、こういう名もない人々が日本の歴史を創ってきたんだぞ!
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