はじめに

あなたは自分にとって非常に重要なことをグズグズと先延ばしにしていませんか?
やらなければいけないことや、やりたいことがあるのになかなか手が着けられなくて、そのせいで不安を感じたり気がとがめたりしていませんか?
あなたのグズのせいで家族や友人、職場の同僚たちをイライラさせていませんか?

グズによって生じる損失はあまりにも大きく、ストレスや病気や自信喪失を招きかねません。
目標の達成や夢の実現が妨げられるのです。
グズな資質を持ち合わせている人なら、次の質問に少なくともひとつはイエスと答えるでしょう。

●日常の金銭的な雑務を先延ばしにしたせいで、小切手を不渡りにしたり代金の支払いが遅れたり、クレジットカードの高金利の延滞金を支払うはめになっていないか?
●運動を始めたり、健康のことを考えたり、医者や歯医者の予約を取りたいとは思うのだが、でも、何ひとつやっていないのでは?

でも、希望はあります。
本書では、グズという、いらだたしくも魅力のある、そして、おもしろいテーマを取りあげ、物事を先延ばしにする癖ときっぱり決別する方法や、もっと生産的になる方法、あなた自身の目標や価値観にふさわしい優先事項の設定法をわかりやすく説明いたします。

わたしは専門家として全米で講演会を行ない、グズを克服するための原則や戦略を指導しています。
以前、タイムマネジメントのセミナーを開いていたとき、「その手のものは自分には効果があったためしがない」からタイムマネジメントの講座には参加しない、という意見を耳にしました。

話を聞いた結果、彼らは一様にグズな人びとで、タイムマネジメントの本やセミナーでは解決できない特殊な問題をかかえているのだとわかりました。タイムマネジメントが役立つのは、自転車旅行を決意したような人びとです。

彼らにはめざすべき目的地があり、自転車の準備も整っている。そして、時間管理の原則はいわば冒険に出発するための地図や案内のようなものです。
ところが、道路上でうろうろするグズな人びとが現われます。

まだ行き先も決めていなければ、自転車を持ってくることすら忘れている。
しかも、肝心の自転車はタイヤのパンクを修理していないので、どっちみち使い物にはならない。
地図や案内(つまり、タイムマネジメントの原則)はこうした人びとにはほとんど役に立ちません。

彼らにはもっと違、ア形のものが必要なのです。そこでわたしは"グズ克服"セミナーを開発し、本書を書いたのです。
わたしのセミナーに参加した人びとの多くが、「本当にグズは直るんでしょうか?」とか、「生まれ持った性格や個性を変えられるわけがないのでは?」といった質問をまず口にします。

しかし、グズは生まれ持った性格でも個性でもありません。
それはただの習慣で、ひとつの態度にすぎないのです。
習慣を変えることは可能ですか?

もちろん、可能ですとも!
煙草はなかなかやめられない習慣ですが、それでも禁煙に成功した人は数えきれないほどいます。
態度をあらためることは?

もちろん、できます。たとえば、ビデオデッキやEメールなど必要ないと以前は言っていたのに、それから数年たったいまではビデオやEメールのない生活なんて想像もっかない、という人がいるのと同じことです。